比叡山１峰南面第一スラブスーパー

　１峰南面の第一スラブは、比叡山の岩場全域における初登ルートです。これ は、現在ノーマルルートと呼ばれ、そのバリエーションとして、「スーパール ート」があるのです。

　寒さがゆるんだ１月の１５日、楽しい登攀ができました。

【日　付】：２０００年１月１５日
【ルート】：比叡山１峰南面の第一スラブスーパールート
【ルート概要】：８ピッチ、300m、「日本の岩場」でのグレードは４級
【メンバー】：YKさん、YTさん、KRさん、NYさん、藪山澤好

（概要）

　先週、年明けの初登りで、比叡山第一スラブノーマルに出かけたのですが、 ３ピッチ目の終了点（亀の甲スラブの取り付き）で、５名のパーティに追いつ いてしまい、やむを得ず、そこから懸垂下降と藪こぎで退却と相成りました。
　あまりに無念で、今週再挑戦となったわけですが、せっかくだから、グレー ドの高いスーパーに登ることにしました。

《フリクションばっちり》
　集まったのはいずれも庵鹿川のメンバーで５名。YKさん・KRさん・NYさんの パーティとYTさんと私の二つのパーティに分かれて登ります。先行パーティは KRさんがトップ。後発組は４ピッチ目（亀の甲スラブの取り付き）まで、私が トップをさせていただきました。
　２ピッチ目は、ホールド・スタンスとも細かいのですが、フリクションがば っちり効きますので、結構快適です。強いていえば、真ん中より少々下方の左 へのトラバースがちょっと微妙かな、というところ。

《恐るべきスラブ》
　亀の甲スラブの乗越しは、通常は右のワイドクラックを登ってハングの下を 回るのですが、ビレイ点から直上するルートもあります。
　先行パーティトップのKRさんは果敢にもこれに取り付きました。細いクラッ クをレイバックで越し、２本目のピンの上はかぶって手がかりのないスラブで す。ほんのちょっとしたくぼみにスタンスを求めて、ずり上がるのですが、フ リーではかなり難しそうです。KRさんは、途中でぶら下がって休み、結局３本 目のピンにかけたクイックドローを握ってのA0となりました。
　庵でも指折りの実力者YKさんでも、まだフリーでは登れていないとお聞きし、 びっくりしました。グレードは5.11くらいではないかとのこと。
　３名の苦闘を目の当たりにした我々は、黙って右側に回りました。(^^;
　通常ルートも結構トリッキーな動きを要求されます。ここはYTさんにトップ をお願いしました。クラックを登ってハングを回る部分も微妙ですが、トラバ ース後の直上もちょっと嫌らしい感じです。
　亀の甲スラブの上は、25mのピッチが二つ続くのですが、50m一杯で、一気に 登りました。

《核心部》
　さて、いよいよスーパールートの核心部７ピッチ目です。グレードはV+。
　ここは、YTさんがトップです。出だしからして、スタンスが外傾したくぼみ です。張り出したカンテに掴まって左に回り直上するのですが、傾斜が強い上、 ホールド・スタンスともに乏しく、厳しいバランスが必要となります。特に最 初のピンの上から、次のピンまでが厳しく感じました。

《最高のエンディング》
　さんざん油を絞られて、ようやく最終ピッチです。
　ここでもYTさんが私にトップを譲ってくれました。感謝。快適に登ってAピークに たどり着くと、先行パーティが笑顔で迎えてくれました。(^^)v

（感想）

　やっと、念願の第一スラブスーパールートを登ることができて、最高の気分 です。噂に違わず、誠にすっきりとしたいいルートでした。
　ただ、私としては、第７ピッチに課題を残してしまったので、がんばって、 ここをリードできるようにならなければと気を引き締めています。p(^^)q

　なお、比叡山１峰南面の各ルートは、先週の３連休で、庵鹿川のメンバーが 大掃除をしたので、ブッシュなどがきれいに整理されています。あまり登られ ていない第一スラブノーマルもきれいになりました。一言お知らせいたします。