身辺雑記「綾に哀しき」２０００年９月分

雨。

今日は終日雨。

肌寒い日だった。

前から興味のあった、大島渚監督の「御法度」のビデオを観る。

一部にはっとするようなカットもあったが、大島渚の映画作家的荒廃は目を覆わんばかりだ。

特に、最終場面の直前に挿入されたストレンジャーザンパラダイスばりのゲネラルパウゼは、全く理解に苦しむ表現である。

これが、「絞死刑」や「儀式」「愛の亡霊」の大島渚の映画なのかとため息をついてしまった。

若いから仕方がないとはいえ、松田龍平や武田真治などの腰の決まらない差料の扱いにはがっかりだ。

それに、「加納惣三郎が沖田総司に懸想していた」という独自の解釈は、原作の持つ混沌とした問題提起にひどく安直な結論を無理矢理引き出したような居心地の悪さを感じた。大島渚はよほど武田演じるところの沖田総司が好みと見える。(^^;

しかし、松田龍平、さすがに血は争えない。父親に生き写しだ。

この映画では坂本龍一の音楽が最高だった。映画音楽においてもすでにベテランの域に達していてそつがない。

夕刻、友人が訊ねてきた。千葉から車で来たのだ。全くすごい男である。(^^;

共通の友人夫妻も入って、４人で焼き肉などを食べながら、久しぶりに昔話の花が咲いた。

いい飲みかただった。

晴れのち雨。

今週も出張だった。(^^;

従って、またまた日記の更新が遅れた。(^^;

出張先は徳之島だ。三つの町を全部回る。

恥ずかしながら、私は徳之島の位置関係がわからなかった。奄美大島の更に南方にあるのだ。

以前は、新婚旅行客などで大にぎわいだったこの島も、近頃は沖縄やハワイなどに観光客がとられ、寂れる一方だという。

特に天城町・伊仙町は繁華街らしきものすらない。徳之島町の亀津がもっともにぎやかで、商店街や繁華街も充実していることから、みんなここに集まってきてしまうのだろう。

しかし、ここで出合う人たちはみんな不思議に柔らかな笑顔を浮かべている。穏やかないい島だ。

それにこの島にはかなり深い山地が存在する。最高峰は井之川岳で600mを超えている。アマミノクロウサギも生息しているとのことだ。

双耳峰で堂々とした山容である。(^^)

登ってみたいが、ハブが怖い。(^^;

ハブも蛇だから、冬は大丈夫かな。穴を掘って冬眠しているという話も聞くし。

そういえば、谷も結構深かった。このあたりの島では珍しく水がおいしく豊富なのは、高い山と深い谷のおかげなのだろう。

本当にいい島だ。

晴。

関東地方から北は、雨足が強いらしい。

熊本は快晴だ。早起きをして布団を干し、YTさんの車に同乗して、久しぶりの比叡山に向かう。

いい天気のせいか、比叡山の岩場にはたくさんのパーティが取り付いていた。

ちょっと迷うが、空いている「奥の細道」に向かう。このルートはいいルートだ。

しかし、雨が残っていたものか、ルートは凍みだしの嵐。(ToT)ヒェー

一ピッチ・二ピッチの核心部はことのほか悪かった。(^^;

いずれにしても、写真入りのレポートを近々掲載いたします。

ヨロシク。

シドニーオリンピック女子マラソンで高橋尚子選手が金メダルを取った。

相当なプレッシャーだったことだろうから、これは本当にたいしたものだと思う。

マジック１となった巨人が、昨日中日に負け、今日も負けているというので、せっかくだから、負け試合を見てやろうと楽しみにして、チャンネルを回したら、何と、９回裏に逆転勝ち。

なんてことだ。あー、おもしろくない。

何て言う番組なのかよくは分からないが、スマップのナカイが舞い上がっている。「何度みても感動的だ」なんていっている。あれだけほかのチームの有力選手を引き抜いてきて優勝しなかったら本当に「アホ」だぜ。

明日から、またまた出張だ。(-o-;フゥー

曇り午後から豪雨。

一週間続いた好天も、下り坂だ。

空は厚い雲に覆われ、午後になって沛然たる雨に襲われた。熊本に帰る飛行機も、これらの影響で小一時間も遅れてしまった。

前回の日記から一週間が空いてしまった。(^^;

連休は、当初、石鎚山北壁登攀の予定であったが、台風と秋雨前線の影響で、九州・四国は激しい雨におそわれたので、これを避けて山陰に行って来た。三瓶山も津和野も秋芳洞も初めての体験だ。さすがに大山までは行けなかったが、印象的な旅だった。

記事はこちら

今週は東京に出張。今日、熊本に帰る。

そういえば、今日は彼岸だ。これから冬至に向けて陽がどんどん短くなっていく。いつもこの時期はそこはかとなく寂しい。

野や山がいろとりどりの装いを見せ、目を楽しませてくれても、それはやがてくる冬の前の最後の輝きだと思うと、万感の思いを抱かせる。

シドニーオリンピックが始まり、テレビも新聞もオリンピック一色だ。

オリンピックで頑張っている選手に声援を送るのはやぶさかではないが、報道関係が真空状態になってしまうのは問題だ。

与党三党は、参議院比例代表区で非拘束型名簿方式を画策したり、教育基本法改定を審議日程に入れようとしたり、拙速な少年犯罪対策を立案したり、裏付けのない補正予算を通そうとしたり、とヤリ放題。

そのほかにも見過ごされている重大な問題がたくさんあるのではないか。

たとえば、韓国大統領との会談や北朝鮮との関係改善はどうなるのか。永住他国籍住民の参政権はどうするのか。

オリンピックなどにうつつを抜かしていて本当にいいのだろうか。

曇りのち晴れ。

台風１４号と秋雨前線の併せ技で、鹿児島・宮崎を豪雨が襲っている。

午後から一転して、熊本では青空が広がる。

予報では三連休は水浸しのようだが、どうなのだろう。

例のモリ氏買春疑惑に関し、東京地裁が警視庁に犯罪犯歴を公開するよう調査嘱託を申し入れていた件について、予想通り（？）警視庁刑事部刑事総務課長名で「犯罪犯歴は、犯罪捜査のために収集、保有しているものでありますので、調査には応じかねます」という木で鼻を括ったような回答が寄せられた。

この件に関して「噂の真相」編集長の岡留氏がコメントしているように、そのような事実がなければ「シロだった」と報告すれば済むものを、このような対応をとったと言うことは、益々信憑性が高いと考えざるを得ないだろう。

結局のところ、民事裁判に訴えるという愚行に走ったことが、ますます疑惑の根を深くしてしまったと言うことか。

それにしても、今後は少々骨だろう。以前、懸念を表明していたとおり、当該記事の信憑性を「噂の真相」側が立証しなければならなくなる可能性が出てくるからだ。

例のデータをどのような形で入手したのか、証拠を示すことができるのか、ギリギリのところで争われれば、ソースを明らかにせざるを得なくなるかもしれない。

情報の提供者をきちんと守ることができなければ、今後の取材活動にも影響が出るであろう。

今後の展開は見逃せない。

曇り時々雨夜半晴。

十六夜（いざよい）の月。今日の夜更けは空が澄んでいる。

十六夜の月はいみじくも美しい姿を思うさまに見せつけていた。

僅かに欠けたかに見える崩れが一層、私の琴線に触れる。

夜半、この月を見ながら陶然として歩いていた。

そのうちに、なぜか不思議な感慨がわき起こってくる。

さる人に戴いた白磁の器の発する光に酷似しているように感じたのだ。

月の光は、なぜこれほどまでに人の心を捕らえて放さないのだろう。

私は、その一つの要素として、月の光が人間の直視できる範囲内にあることを考えている。

太陽の光を直接人は見ることができないので、私たちはあの光の中にあるものを見いだすことは叶わない。

だが、月はそれを赦してくれる。その光の加減で、その台地の形状まで見せてくれるのだ。

私の手元にある白磁の器は、そのままでは光を発することがない。

しかし、それは、周りに光が満ちている限り永久に光を反射する。

そして、おそらくその光は、その白磁が元来有している力の反映に相違ない。単に周囲の光を乱反射させているのではなく、独自の色を盛り込んで、しかも、控えめに光っているのだ。

月の光と白磁の光。どちらも間接照明の産物でありながら、それにとどまらない、あまりに深すぎる光を演出する。

私は、このいみじく光る月の光を浴びながら、手にかの白磁の器を乗せているかのような錯覚に陥って、ひたすら帰路を急いでいた。

曇り時々雨。

今日は中秋の名月。

しかし、秋雨前線や台風１４号の影響か、満月は雲間にかすんでいる。

おぼろ月夜は春だが、何となくそんな感じだ。それとも月に群雲か。

田中康夫氏の長野県知事選出馬に関連したサイトができた。

万人向けのわかりやすいメッセージでかかれているが、「行政経験」を問われたインタビューに答える形の

行政経験、あるいは組織での経験、財政に関する知識ということで言うと、長野にかぎらず、財政のプロ、行政のプロというかたは、一般の企業のかたが歯を食いしばってこられたのとは違って、結果としては少なくとも赤字が増えて、それに対して抜本的な対策が取れていなかったりするということがある。その意味では行政のプロというかたが、かならずしも県民本位の、県民にとっての心への利益の還元をなされるかということは、僭越ですが、少なからずなかったと思います。

この発言はなかなか鋭い。

当たり前のことだが、行政は本来民衆のために働くものだ。

非常にわくわくしてきた。田中氏が長野県知事選で勝てば、長野県から改革の波が全国に広がるだろう。

がんばってほしいし、長野県民がすばらしい未来を選択することを心の底から願って止まない。

曇り後晴れ時々雨。

今日は、庵鹿川のある北方町上鹿川の水道設備の掃除日だ。

水源受水枡の砂の掻き出し、３つある貯水タンク内の清掃などが中心になる。沢の上り下りもあるので作業は大変だが、庵が地元にとけ込んでいる証の一つでもあるし、主なメンバーは積極的に参加しているのである。

それにしても、今年は天気が良かったせいかタンク内の水苔が大変健康に育っており、掃除に往生した。(^^;

作業終了後、昼食をとって、腹ごなしに宇土内谷の様子を見に行く。ここはアイスクライミングのゲレンデという意識が強いが、相当に大きな花崗岩のスラブがありそうで、一度見ておきたいと思ったのだ。

大崩山登山口から宇土内谷沿いに歩く。今年の３月に見かけた鹿の死骸が白骨化していた。(^^;

思った通り、宇土内谷の支流は大規模なスラブの宝庫だった。

アイスクライミングの時には緩そうに見えた滝も、所々にハングを有し、なによりもホールドが乏しく相当困難そうに見えた。

本流も、大きな釜や淵・トロを配し、ゴルジュや見事なナメの造形美に優れた流れだ。

それにしても、（当たり前のことかもしれないが）冬に比べてものすごい藪が繁茂している。(^^;

時折、気まぐれに襲う驟雨に翻弄されながら、笹をかき分けるのは結構大変だった。(^^;

いずれにしても、近い内に再来しよう。

明日から鹿児島へ出張だが、台風１４号が気にかかる。

曇り。

朝、庵に電話をする。

NYさんと比叡山の駐車場で待ち合わせて岩登りをしようと調整していたのでその確認のため。

しかし、あいにく雨が降っていて登れそうもないとのこと。

仕方がないので、掃除などをして、夕方出かけることにする。

週末、山などにほっつき歩いている関係から、掃除や洗濯はうまくやらないと厳しいが、今回のように出張が重なっていると、更に調整が難しくなってくる。(^^;

特に洗濯は、ためこめばため込むほど始末が悪い。出張用の着替えも必要だし。

夏の暑い時分は、カッターシャツのアイロンがけで汗だくになるので、早朝の涼しい間にその日に着ていくシャツ一枚のアイロンがけをしていた。

出張だとそうはいかないからなあ。

晴れのち曇りから雨。

天草の本渡市から、昼前に帰社。

出ずっぱりだと、さすがに疲れる。(^^;

来週あたまの鹿児島出張が終わると、ちょっと一息入れられるが、次の週には東京への出張が入っている。

台風１５号は逸れていきそうだ。しかし、後二つあるし、前線を刺激しているので、週末の天気が心配だ。

夜半から弱い雨が降る。

晴れ。

八代から天草の本渡市へ移動。相変わらず残暑がきつい。

今日もいいお天気だが、台風が三つも接近中らしい。

特に１５号が不気味だ。

もしかすると、上陸するかもしれない。

去年は例の風台風でひどい目にあっている。

何とか逸れてもらいたいものだ。

晴れ。

今日は八代に出張だ。明け方は涼しかったが、日中はものすごい暑さである。

この暑さの中で、長袖のカッターシャツに背広上下はきつい。(^^;

勤め人はつらいものだぜ。

与党三党は、とうとう少年法関係の見直し案を出してきた。

刑罰の適用を１４歳以上に引き下げたり、家庭裁判所から検察への送致などが盛り込まれるらしい。

その割には、被害者に対する具体的なケアが不十分な気がする。

いずれにしても、どうも少年に対する刑罰適用を何とか拡充しようとしているところのみがあぶり出されているようで、拙速は免れまい。

学校も家庭も責任逃れをしようとしているようで、そのあおりが刑罰適用の拡充だとすれば、なんか違うような……。

統計的にみて、本当に少年犯罪が激増し、凶悪化しているのだろうか。マスコミの注目度が上がっている、などという側面は考えられないのだろうか。

それにしても暴れ回っているコゾーどもは、それが結局自分の首を絞めていることに気がつかないようだ。

結局、大人の世界が、それこそ何でもありの汚い世界であることがコゾーどもをして、「このくらいやってもあたりめーだ」と思わしめているのだろう。

子供が荒れているのは、要するに大人の世界の反映なのだ。

与党三党も、本気で少年犯罪の凶悪化を何とかしたいと思うのだったら、迂遠なことでも、自らの体質を見直すことが肝要だろう。と不可能を承知で申し上げておく。

もちろん、プライバシーの保護を含めた被害者の保護と事後的なケアーは必要不可欠だ。

罰則や管理の強化などは、その後の話だと思うのだが。

晴れ。

昼、宮崎への出張から帰社。

帰りの高速バスのビデオで「マトリックス」を上映していた。見逃していたのでうれしい限りだ。

予想以上によくできたおもしろい映画だ。前評判の高かったカメラワークはさすがにすごい。それ以上に編集の妙を楽しめた。どれほどいいシャシンが撮れても編集がチープだと観るに耐えなくなる。

「NEO」とエージェント・スミスとの行き詰まる攻防が展開する（どうでもいいが、「武術」シーンはやっぱり不自然な動きをしているな）。

うおお、決着はどうなるんだ、と拳を握りしめていたら「ご乗車まことにありがとうございました。終点の熊本交通センターに到着です。お忘れ物の無いようお降りください」のアナウンス。無情にも結末を観ることなく下車の憂き目にあってしまった。(ToT)

うあああ、、、この遺失感をどうしてくれよう。明日からは、八代・天草に出張だし。

くやしいぃぃぃ！

って、どうも単純すぎる反応だな。(^^;ナサケネー

晴れ後雷雨。

鹿川の朝はとてもいいお天気だ。

昨晩の酒が色濃く残るなか、メンバーは鉾岳に向かう。

中心は、最近大滝周辺に新たに拓いたルートの整備だが、私たちは久しぶりの南面スラブに向かう。

詳しくはこちら(雌鉾岳大長征)をご覧いただきたいが、スラブのいい感触を味わいながらも、終了点で雷雨に襲われ、濡れ鼠となってしまった。(^^;

家に帰って、濡れたザック・ロープ・クイックドロー・スリング・フラットソールなどを乾かしていると、しばらくして熊本でも雨が降ってきた。(^^;

まあ、岩に登っている最中は天気がもったし、特に後半暑くなってくる頃に日が陰ったので、考えようによってはラッキーだったかもしれない。

それにしても、この間の比叡山といい、終了点で雨に降られる事態が二度続いた。(^^;

なーんか、いやな感じ。(^^;

晴れ。

９月になった。

朝晩もめっきり涼しくなり、だいぶ過ごしやすい。

熊本にきてもう１４ヶ月も経ってしまった。二度目の秋を迎える不思議な感慨にとまどっている。

単身生活は確かに大変だ。家に帰れば、どれほど快適かは改めていうまでもないことである。

不便だということ以上に、連れ合いのいる家が待っている毎日をあまりに当たり前に受け止めていたことの反動が大きかった。

今、日々に取り立てて不満がないのは、仕事のおもしろさと充実した週末にある。

九州の山と岩に慰められている面も大きいだろう。

しみじみと思う。「九州はおおきなところだ」と。