身辺雑記「綾に哀しき」２０２３年７月分

晴れ。

相変わらずの猛暑が続いている。

昨日、ようやくハローワークに行ってきた。

雇用保険の高齢者受給資格者認定手続きのためである。

昨年も同じ手続きをしたところだが、幸い就職先が見つかり、一年間働くことができた。

先月末で解雇となり、再度の申請ということである。

高齢者でも働く意思があれば、こうした支援が受けられること。誠にありがたいことといわざるを得ない。

年を重ねたせいもあってか、今年は職を失した後の落ち込みがきつくなっている。やらなければならない事はたくさんあるのだが、どうにも気持ちが前向きにならない。

そんな折にハローワークに赴いたわけで、高齢就職者が結構な数に及んでいることに少し気持ちが和らいだところである。

ようやく世間の関心も下火になった感があるかなと思っていた「広末涼子氏のW不倫問題」。広末夫婦が離婚し、それを発表したことでまたぞろ話題が再燃してきたようだ。

キャンドル・ジュン氏、慰謝料請求しない理由は「金銭問題ではないと強く示すため」

所詮は人の家の房事に関することなのであるから、別にどうでもいいし私自身特に何の関心もない。

そもそも私は「広末涼子」という俳優には以前から好感を持っていないし、今回の騒動でも「またかよ」程度の印象だった。彼女の連れ合いのことも全く知らなかったし、そもそも知りたいとも思わなかった。

ただ、子供たちは本当に気の毒だと思う。子供たちの将来にこうした親の自分勝手な行動が暗い影を落とすとするのであれば、その責任は極めて重い。

その意味で、キャンドル・ジュン氏が妻の不倫相手に対し「謝罪がない」と憤るのはよくわからない。

そもそもこうした不貞行為に関して言えば、不貞を働いた者がまず謝罪すべきはその連れ合いである。不貞の相手方の連れ合いに謝罪する必要があるのだろうか。

不貞の相手方の連れ合いに謝罪すべきなのはその相手方本人なのであり、された側の連れ合いなど本来出る幕ではなかろう（自分の連れ合いに謝罪させればいいのだから）。

つまり、キャンドル・ジュン氏に謝罪すべきは広末涼子氏であり、鳥羽氏の妻に謝罪すべきは鳥羽シェフなのである。

キャンドル・ジュン氏が鳥羽シェフに対して「謝罪の意思が感じられない」と不信感を抱いたり、広末涼子氏のメッセージの中に鳥羽シェフの妻に対する謝罪の言葉がない、などと騒ぐのはどうも見当違いのような気がするのだが如何。

ま、どうでもいいことではあるのだが。

曇り。

ryuchellさんが亡くなった。

状況からみて自殺だと判定された。

そしてその大きな要因となったのは、SNSなどネットにおける誹謗中傷とされている。

【ryuchellさんが死去】親友に最後に漏らした不安「私の選択ってあっていたのかな？」

昨年の八月、この雑記で彼のことに触れた。

彼の苦しみぬいた末の決断と、それを受け入れたpecoさんの深い愛情に私は強く感動したことをいまさらながらに思い返している。

ただ、当時の彼のこの決断は、世の中に一定数存在する守旧的なコンサバ層や自分の正義を疑わず人に押し付けたい連中から目の敵にされるのではないかとの危惧を同時に抱いた。

不幸にもそれは現実となり、明るく振舞いながらもそれらに対処していたryuchellさんの心を確実に蝕んでいたのだろう。

人がそれぞれに固有の思想を持つ限り、価値観というものは人の数だけ存在する。

犯罪行為に至るとか、他者を傷つけたり毀損したり命を奪うようなことがない限り、その価値観はその人そのものなのであるから、周囲が勝手に評価するべきものではない。

思想というものが、自分と異なった価値観や他者の思想を受け入れることによって、はじめて成立するものである限り（人間は社会的な生物なのだから）、自分の尺度を以て他者の価値観を攻撃することは極めて愚かなことである。

ryuchellさんは「よくも悪くも本当に素直で嘘がない人だった」とAさんは続ける。

「pecoと結婚した時も彼女のことが本当に好きだったし、今の自分の状態も隠したくない。すべてが本音の人なんです。

恐らくそれがすべてなのだろう。

自分を偽って生きることは、彼の中では受け入れがたい苦痛であったのではないか。そしてそのことを、彼の家族や親しい人たちはわかっていて、彼を守ってあげたいがゆえに温かく受け入れていたのかもしれない。恐らくそうしてあげたいほど、彼はみんなにとって大切な存在であった。

それを、彼とは何のかかわりもない連中が、勝手な憶測と自己陶酔的な価値観や「正義感」のもとに誹謗中傷の書き込みをし、彼の命を奪い、残された彼の家族に塗炭の悲しみと苦しみを与えたのである。

ryuchellさんの訃報が伝えられると、SNSなどに書き込まれていた誹謗中傷コメントやアカウントは一斉に削除されたのだそうだ。

「卑劣」という言葉がこれほど似合う行為もあるまい。

曇り。

6月30日を以て今の職場を退職した。

高校卒業以来48年間のサラリーマン生活に終止符を打ったということだ。

ほぼ半世紀、給与所得者として生活してきた。

今、私は不思議な感慨に浸っている。

もちろん、これで全く働くことをしなくなるということにはならないと思う。

しかし、何らかの形で組織に所属し、ある程度の責任ある立場で仕事をして対価を得る、という生活に戻ることはないだろう。

連れ合いを亡くして4年半が過ぎ、一人暮らしをしていることのリスクをある程度軽減する意味からも、組織に所属していることの意義は高かった。

これからは今まで以上に気を付けて生活をしなければなるまい。

何か不測の事態が出来して命の危機が迫っても、それを身内などの知らせる術もなく、下手をするとかなり長期間にわたって放置される可能性もある。

そのことを肝に銘じなければならない。